スカイ島で最も古い蒸留所が生み出す力強いシングルモルトウイスキーは、まさに男性的なモルトです。
初留釜のラインアームには直角に曲げられた独特のピューリファイアーが備え付けられており、これがタリスカー独特の爆発的な胡椒の風味をもたらすと考えられています。
『宝島』の著者であるロバート・ルイス・スチーブンソンにより「King of Drinks(酒の王様)」と評されたほど、ずっと愛され続けてきたシングルモルトです。
今回は、タリスカー蒸留所を代表する1本のタリスカー10年をご紹介します。
目次
タリスカー蒸留所
島のゲール語名はEilean a Cheo「霧の島」。一年のほとんどのあいだ霧に覆われる、典型的な海洋性気候です。1823年には、スカイ島にも免許を持つ7つの蒸留所が存在したことが記録されてます。
ヒューとケニスのマカスキル兄弟が1827年にスカイ島に移り住み、西岸の農場「タリスカーハウス」の賃借権を買ったことが始まりでした。1830年、兄弟はロッホ・ハーポートに面したカーボストにタリスカー蒸留所を設立しました。
当時、ウイスキー蒸留の多くは農場の副業として営まれていました。スカイ島では免許を持つ7つの蒸留所と、数十の無免許の蒸留所が稼動していましたが、タリスカー蒸留所以外の蒸留所は全て閉鎖されました。
孤高の蒸留所
スカイ島でただひとつの蒸留所となったタリスカーは孤立し、独自の創意に頼りながら発展していきました。
所有者は何度も変わりましたが、タリスカーの味わいは高く評価され、1863年にタリスカーの所有権を買い取ったグラスゴーの不動産業者、ジョン・アンダーソンは「市場でタリスカーほどの評価を得ているウイスキーは、他には存在しない」と明言しました。
タリスカー10年がクラシックモルトシリーズの1つとして発売開始
1960年に火災にあったものの、1962年には全て以前の通り復元され、蒸留が再開されました。そして1989年、タリスカー10年が45.8%というユニークなアルコール度数でボトリングされ、クラシックモルトシリーズ6種のうち、アイランズモルトを代表する1本として発売されました。
今日に至るまで、タリスカー10年はその一度飲むと忘れられない味わいで多くのウイスキーラヴァーから愛されています。
タリスカーの1830年から変わらぬ製法と伝統
タリスカーの滑らかでピーティな仕込水は、蒸留所に隣接するホークヒルから湧き出る14の地下湧水を使用しています。
創業当時から変わらぬ製法と伝統を忠実に守って蒸留を行うことにより、タリスカーの独特のスパイシーな深みのある複雑な味わいが生まれます。
最終段階の蒸留酒をオーク樽に移し、古くからある倉庫の中に保管します。樽の中で10年から25年を費やします。主にバーボンの熟成に使用したアメリカ・オーク樽かシェリーの熟成に使用したヨーロピアンオーク樽を使用しています。
熟成年数を終えるまで、状態を慎重に管理することで、独特の海を思わせるキャラクターを十分に引き出し、爆発的かつ複雑な香味の特徴が、人々を惹きつけてやまないモルトウイスキーの誕生へとつながります。
タリスカー10年 味わいと口コミ評判は!?
IWSC熟成年数12年未満のシングルモルト部門:最優秀賞トロフィー6回、同金賞8回(1997~2006)など、数々の受賞歴を誇ると共に、世界中に多くの愛好家を持つ、力強く表情豊かなモルトウイスキー。
スカイ島が誇る、金色の蒸留酒。ピートと海潮の力強い香りとスモーキーな甘さを持ち合わせた、まさに男性的なモルトです。爆発的かつ複雑な香味の特徴が人々を惹きつけてやみません。
色:輝くようなゴールド
香り:ほのかな海水の塩、生ガキそして柑橘系の甘みを感じさせる、力強いピートのスモーキーな香り
味わい:煙るようなスモーキーさと力強いモルトの香味を伴う、豊かなドライフルーツの甘み。温かく、情熱的。のどの奥にペッパーの香りを感じる
フィニッシュ:食欲をそそる甘みを伴った、広大な、長く温かいペッパーを伴うフィニッシュ。
実際に飲まれた方達の口コミ評判をご紹介します。
私はこれを飲むたびにホッとします
・頑張った一日の終わりに、ロックにして少しだけ加水してチビリチビリと。チョコや黒糖かりんとう、スモークチーズなどで。
潮の味というのがしっくりきます
・雄雄しい味がします。10年ものだけれど、マイルドさもありつつキレのある美味しいお酒ですね。ハイボールが美味しかったです。
スモーキーさとピーティーなのが最高
・結構ガツンとくる味なので、苦手な方は注意。 飲み方は氷なしの水割りがほんのり甘くていい感じ。 ハイボール好きな方は是非スパイシーハイボールを試して欲しい。
味のクセは少なく、飲みやすい方だと思う
・スモーキーなウイスキーは初めてだったが美味しかった。 始めは香りに驚いたが、すぐ慣れたので問題ない。
ラフロイグがこれまでのお気に入りでしたが…
・ここ数年値上がりが激しく困っていました。少しレパートリーを広げたいと思い、ウイスキー・ブックなどで評価の高いこのお酒を買うようになりました。飲み応えがあり、香りも高く気に入っています。
・タリスカーを飲み始めた頃は、物足りない感じでしたが… 最近は、こちらが定番となりました。 ラフロイグも戻れなくなるかも…(笑)
タリスカー10年のまとめ
「宝島」「ジキル博士とハイド氏」などの作家スティーブンソンは、「酒の王者として思い付くのはタリスカー」とのべて愛飲していたそうです。
ハイランドとアイラの中間的な性格をもつ、アイランズモルト。
ピート香に富み、口の中でモルト香味が熱く広がり、非常にスパイシー。
一歩進んだモルト・ファンにお薦めです!